YEG活動特集①伝統を引き継ぐ理由と意味はあるのか? 麒麟獅子の紙芝居絵本プロジェクトで伝えたかったこと。
2021年3月19日New
ここ近年のYEG活動の裏側やストーリーなどを交えて、説明したいと思います。
今回は「麒麟獅子の紙芝居プロジェクト」の経緯やストーリーについてお話ししたいと思います。
「麒麟獅子(きりんじし)」って知っていますか?
麒麟獅子は見たことや聞いたことはあるけど「よく分かっていない・・」
・・という方は多いのではないでしょうか?
そもそも「日本遺産登録」されたこと自体、知らない方も多いのではないでしょうか?
因幡地方・但馬地方で 無病息災のシンボルとして 受け継がれている「麒麟獅子」
地域の伝統文化でもある麒麟獅子を用いた活動を鳥取YEGでは行っています
その一つとして「麒麟獅子の紙芝居プロジェクト」を立ち上げ、紙芝居を制作し、幼稚園や図書館などに寄贈を行いました。
今回は鳥取YEGとしての麒麟獅子を用いた活動、裏側・ストーリーなどを交えて、説明したいと思います。
一人でも多くの方に「麒麟獅子」はもちろん、地域の伝統や文化に興味を持っていただければと思っています。
それでは麒麟獅子の紙芝居プロジェクトの経緯やストーリーについてお話ししていきます!
そもそも「麒麟獅子」って何?
麒麟は中国の想像上の動物で古来より他の生き物を傷つけない泰平の世の象徴とされた霊獣です。
鳥取県東部(因幡)と兵庫県北但西部(但馬)には、この麒麟に扮して舞う「麒麟獅子舞」という幻想的な伝統芸能が伝わっています。
1650年に鳥取東照宮を建立した折に始まった麒麟獅子舞は、今でも伝統芸能として各地で見ることができます。
因幡但馬に伝わる麒麟獅子舞は、初代鳥取藩主池田光仲が、天下泰平を築いた江戸幕府の将軍にして曽祖父の徳川家康公の威光と、その仁愛と平和の精神をここ因幡但馬に根付かせようと、日光東照宮の分院鳥取東照宮を建立した際にその祭事として創生したものです。
麒麟獅子舞は、地域に古くから伝承されてきた神事的な民俗芸能です。
しかし、若い人を始め、人々の興味関心を引き付けることが難しいため、全国へ誇るべき貴重な地域資源は、後継者問題などに直面しているという現実があります。
これらの貴重な文化、芸能伝統を後世へ伝えていくためには、地域の内外を問わず、多くの人々の関心や協力が大きな力となることは間違いないでしょう。
鳥取市など麒麟獅子舞の文化が残る地域のストーリー『日本海の風が生んだ絶景と秘境―幸せを呼ぶ霊獣・麒麟が舞う大地「因幡・但馬」』は令和元年の「日本遺産」に認定されています。
なぜ麒麟獅子に着目したのか?
「麒麟獅子」は見たこと聞いたことはある
でも..意味や伝統的価値はよくわからない・・
そのような方は多いのではないでしょうか?
因幡但馬の麒麟獅子を、今までにない新たな魅せ方で発信する!!
そうすることで麒麟獅子の不思議で幻想的な魅力に、老若男女を問わず少しでも多くの方に目を向けてもらえるきっかけになるのでは?と考えました。
多様な価値観、情報スピードも早いこんな時代だからこそ、伝統や芸術の価値は時代とともにますます重要になってくると思っています。
何よりも歴史や文化を知ることで「地域への関心が高まり愛が育つ」という効用はもちろん、心も豊かになるのではないのでしょうか?
日本遺産にも認定された「麒麟獅子」にフォーカスをあてる。
麒麟獅子を継承していく事は、より豊かな未来や地域づくりに繋がる!・・・とわたしたちは考えたのです。
麒麟獅子紙芝居プロジェクトの狙いについて
地域の伝統文化である「麒麟獅子」
子どもはもちろん、大人でも意味や成り立ちを理解している人は多くありません
伝統文化を守るために必要なこと
伝統を守る、継承するために「大切なこと」が一つあります
それは「知ること」です。
その文化にどのような歴史があり、意味があり、どのように現代に受け継がれ、変遷していったかを知ることです。
地域の伝統工芸でも、伝統踊りでも、日舞でも、武道でも、・・・
それを知り、習うことによって、理解が深まります。
その地域で生活しているものすべてが、文化を守る継承者でもあるのです。
伝統とは「一度失われてしまえば二度と生み出すことはできないもの」です。
伝統の価値観は、私たちの「根」です。
根を学ぶことは先祖からの智慧を学び、生き方を伝承し、子孫へと精神を継承していくことに繋がるはずです。
どうやって麒麟獅子を知ってもらい、継承していくべきか?
伝える方法はさまざま。
動画やCM、ネット広告などいろいろな方法があるでしょう。
しかし一過性のものでは意味がない。
老若男女問わず「分かりやすいこと」「伝えやすいこと」
今後も広がっていくような方法・手法が良いだろうと考えました。
「そのためには、何がベスト?」
「どういった形式で相応しい?」
いろいろ協議を重ねた結果、「子どもたち」にターゲットを絞る事にしました。
地域の宝でもあり、未来の担い手でもある子どもたちに「届けよう!」
麒麟獅子を、「今までにない新たな魅せ方で発信しよう!
そう考えたところ「紙芝居」という手法を使うのが良いのでは? という結論に至りました。
紙芝居というツールを使うコトで、より身近に、子ども達にも分かりやすく伝える事ができると思ったのです。
そうと考えると「紙芝居」はぴったり!
<本事業の3つの狙い>
・幼児期から地域文化に振れて、知ってほしい
・子どもを通じ、子育て世代にも地域の魅力を体感してほしい
・地域愛をはぐくむことで、人口流出を抑制させたい
貴重な文化財を次代に残すという活動は大変な苦労を伴います。
だからこそやる価値があるのです。
継承活動を通して地域に誇りと愛着をもたらし、地域共同体に果たす役割も大きいと考えています。
より正しく分かりやすく伝播するために絵本作家と協同で製作開始
紙芝居をつくることは決まったものの、実際にストーリーや作画など実務の部分をどうするか?
この点は、とても悩みました。
そんな中、一人の作家さんに着目しました
奥村雅子(おくむらのりこ)さんという作家さんです
Instagramはこちら
彼女との出会いにより、紙芝居プロジェクトはどんどん加速していきました。
青谷町出身の作家さんで、現在は東京都内在住。
因習和紙に絵をかいて作品展を行ったり、ギャラリーそらなど鳥取市内でも活動されている方です。
力を借りることで、良い作品になると思いアプローチを行い、ご協力いただくことができました。
こんな時代の中では、本当は守るべき価値があるのに、打ち捨てられてしまう伝統も少なくないはずです。
だからこそ、価値がある伝統は守るべきだと思います。
おわりに(メッセージ)
時代がどのように変化しても「人と人とのつながり」や「世代間交流」の大切さが失われることは決してないはずです。
この誇るべき地域に住む方々が日本の貴重な文化財の継承のために、これからも力を尽くして頂ければと願います。
幼児期に地域の特色ある文化(日本遺産、麒麟獅子)に触れ合うことで「郷土愛」をはぐくみ、地域活動や社会貢献のできつ人材が今後増えてくることを願っております